BioKiteキッズ バイオカイトで化学を学ぼう!

メルマガ(第026-第050)

第026号第027号第028号第029号第030号第031号第032号第033号第034号第035号第036号第037号第038号第039号第040号第041号第042号第043号第044号第045号第046号第047号第048号第049号第050号

第026号 バイオカイトの材料選定方法について

今回は、講談社ブルーバックス「カラスもびっくり!!!バイオカイト」をご購読の方でバイオカイトを一般の材料で製作されている方から寄せられるお問い合わせの中で、最も多い材料選定方法についてお答えいたします。

「自分でブルーバックスを読みながら、バイオカイトを製作しましたが、少し風が強くなるとくるくると回転してうまく飛びません。何が原因でしょうか?」というご質問を多々いただきます。

回転するという現象は、凧作りの際の宿命のようなものですが、最も大きな要素は、シートの選定にあります。 フレームなどの他の部品で強度を保ちながら重量軽減に成功しても、シートの選定がまずいとバイオカイトは水汲み運動を起こして飛びません。
ただし、上級者になりますと、わざと水汲み運動を起こしやすいシートを選んで不安定な飛行をさせて、上空でのアクロバティ ックな飛行を楽しむ場合もありますが、このような楽しみ方は、まず、ビギナーの方では無理だと思われます。

そこで、弊社からの提案ですが、オリジナルのバイオカイトに挑戦される方は、シートは弊社指定の不織布をベースにしてフレームを組み付けられてはいかがでしょうか? シートの素材が安定すると、設計さえ正しければフレームは、ヒノキでも飛行します。
逆に、フレームを弊社製のものをご使用になられても、シート が不適切であればくるくると回って飛びません。

いままで、水汲み運動を起こして飛ばしにくかったというご経験をお持ちの方は、是非シートを弊社指定のものに変えてみてください。それだけでも飛び方は、全く変わります。

第027号 スタジオジブリ作品キャラクターバイオカイトの揚げ方

今回は、昨年末に発売いたしましたスタジオジブリ作品キャラクターバイオカイトの揚げ方についての説明です。
スタジオジブリシリーズの3種類(トトロ、ネコバス、ロボット兵)はそれぞれ全く異なるとび方をします。

特に、地上から30m位までの低空域での揚げ方が少し異なりますので、個別に説明することにいたします。

まず、揚げる前の準備として標準リールをご使用の方は、レバーを2の段階(レバー位置が下から2番目の位置:全くブレーキがかかっていない状態)にしてください。
高速リールをご使用の方は、ブレーキをはずして、スプール(回転部)に指でブレーキを掛けてください。また、念のため、1~2m位の高さで飛ばして糸目位置の確認をしてください。
トトロとネコバスは糸目位置が広く低空域で多少お尻を振っていても上空に上がると安定して飛行しますが、糸目位置の確認は十分に済ませてください。

まず、トトロとネコバスの場合ですが、低空域では、糸を伸ばす ときになるべく一気に伸ばしてみてください。(30m位をめどに一気に伸ばすと良いでしょう)カイトは横流れします。ある程度糸が伸びたら、指で今度はゆっくりとリールのドラムの回転にブレーキを掛けてください。トトロやネコバスが30m位の高さに急上昇すると思います。
上昇角が取れて頭上付近で飛行が始まると、指でリールのドラムにブレーキを掛けながらゆっくりと上昇させてください。
ある程度の高さになると風の状態が良いので、トトロやネコバスはお尻を振ったり8の字飛行をしながらユーモラスに飛行することでしょう。(トトロは縦型バイオカイト、ネコバスはゲイラ型カイトでともに、お尻を振ったり8の字に飛行する特徴があります。)慣れてきたら、糸目位置をいろいろと変えてその飛び方を楽しんでください。

ロボット兵は、典型的な鳥型バイオカイトで安定飛行が売り物です。
揚げる前の準備はトトロやネコバスと同じですが、低空域の操作は、リールのドラムに最初から指でブレーキを掛けてゆっくりと上昇させてください。横流れさせずに、上昇角を保ったままで揚げてください。)
ロボット兵は、50m~100m程度の高さでその姿を楽しめるだけの安定性を持っております。
急激な操作は行わず、ゆっくりと揚げ降ろしすると良いでしょ う。

第028号 性能アップパーツの使用方法についての説明

今回は、先日発売しました性能アップパーツの使用方法につい ての説明です。

性能アップパーツとは、直径が1.0mmと1.2mm、長さがそれぞれ104mmのスプリングと#100の超極細ナイロン 糸のセット商品のことですが、これらのパーツをお手持ちのバイ オカイトに使用するとどのように性能が変るかということが一番気になる点であると思います。

ご購入されたバイオカイト(翼長900mm~1,000mm程度)には、標準仕様のスプリングがはじめから付いておりますが、これは直径1.0mm長さ100mmのスプリングです。また、糸は細糸が標準仕様となっております。これらのパーツを標準仕様とする狙いは、性能を多少犠牲にしてでも、安定性と強度を確保するということにありました。

つまり、「初めてのお客様でも安定して飛行させることと、多少無理な動作をしても切れない糸を使用することこそが、初心者が楽しむための必要条件である」とのコンセプトに立った仕様を守ってきたのですが、最近では、バイオカイトクラブの会員の方も増え、またフライトテクニックもかなりの域に差し掛かった方が増えたため、この方々の要求を満たすための対策の検討を進めています。

そのひとつが、今回ご紹介の性能アップパーツなのです。
ところで、標準仕様のスプリングと性能アップパーツの各スプリングの長さは、たったの4mmしか変りませんが、これをバイオカイトに取り付けると上反角がかなり浅くなります。この差が、もろに揚力の差になって現れます。
直系の異なる2種類のスプリングをセットにしているのは、風 の強さによって使い分けていただきたいためですが、一般に5m/秒~10m/秒の強い風のときは直径1.2mmのスプリング を使用し、それ以下であれば直径1.0mmのものを使用される と良いでしょう。(機種によって多少、様子が違いますので、ご自分で試して適正風速を確かめてみてください。)また、このスプリングの適応機種は、標準サイズ(翼長900mm~1,000mm程度)の鳥シリーズと羽ばたく蝶シリーズがその対象となります。

このスプリングの交換は、ご愛用のバイオカイトの飛び方を一変させます。たとえば、はばたく蝶シリーズバイオカイトをお持ちの方は、羽ばたきモードの直径0.8mmのスプリングを使用したときのやわらかい感触を覚えておられると思いますが、直径1.2mmの長尺スプリングを使用して飛行させると「これがあの柔らかな飛行をしていた蝶か?」と思わず、疑ってしまうほど攻撃的な飛行に変ります。
これは、揚力が一気に大きくなりそれに伴ってバイオカイトの上昇力が増すためで、中級以上のテクニシャンにとっては、たまらない引きのあるカイトとなるでしょう。ただし、その分、安定性が低下します。空中での横揺れや水汲み運動を発生しやすくなり、フライヤーにとっては、糸のテンションをいかに瞬間的に緩めて不安定動作を緩衝させるかが腕の見せ所となります。

この性能アップパーツの使用を中級者以上の方にお奨めしているのは、そのためです。また、これらの長尺スプリングを使用することによる揚力の増加で、バイオカイトがより高く揚がるようになると、無視できないのが、糸にかかる風の抵抗です。
より高く揚げるための条件として、糸にかかる風の抵抗を限りなく0に近づけたい。これが、バイオカイトの開発時からのテーマでした。バイオカイトの操作に慣れた方であれば、無理な動作をされることが少なくなるため、糸をもう少し細いものにして、風の抵抗を減らして、せっかく増えた揚力の邪魔をさせたくない。
そんな思いが、#100のナイロン糸を性能アップパーツのラインアップに押し上げました。風の強さを読み、その強さに応じたスプリングを使用して、今まで到達し得なかった高度までバイオカイトを揚げてみてください。
糸にかかる風の抵抗は#60に比べて、かなり少なくなり、吸い上げられるように上昇するバイオカイトの引きのみが手元に残るのがわかります。

多分、今までと全く違う力強さをもって、大空に上昇するご愛用バイオカイトの爽快感と余韻がそこにあると思います。

第029号 強風の吹きやすい蝶のバイオカイトシリーズの飛ばし方

今回は、強風の吹きやすい冬シーズンでのはばたく蝶のバイオカイトシリーズの飛ばし方について、説明します。

羽ばたく蝶シリーズは、風の状況により使い分けを行うため、直径0.8mmと1.0mmのスプリングがそれぞれ1本づつ入っていますが、この使い分けとは、実は羽ばたき運動をさせるための使い分けとなります。

比較的穏やかな風が吹く春や夏には、直径0.8mmの細いスプリングを使用し、糸目を背骨と横梁の交点位置よりも頭部寄り(風上)にセットするときれいに羽ばたきますが、風の強い冬の場合には、細いスプリングだと風に負けてバイオカイトの翼がたたまれて上昇角が出ません。
一方で、直径1.0mmの太いスプリングを使用した場合、糸目を頭部寄りにセットしても、羽ばたき運動は行いません。ただし、風が強いときに限って、直径1.0mmのバネを使用して、糸目を背骨と横梁の交点よりほんの少し尾翼寄りにセットすると、強い風でも蝶のバイオカイトは見事に羽ばたきます。

この場合の羽ばたきは、春風に乗ったやわらかい羽ばたきと違って、かなり力強い羽ばたきですが、大きな振幅の羽ばたきが特徴です。

蝶のバイオカイトは冬のシーズンには、向かないとお考えの皆さん、是非羽ばたく蝶シリーズで冬の風に挑戦してみてください。前回ご紹介しました性能アップパーツを使用するとさらに、蝶は力強く飛行します。鳥と間違えるほど豪快に飛行する蝶に今までのイメージが払拭されることでしょう。

第030号 首長のバイオカイトについてお話

今回は、首長のバイオカイトについてお話いたします。

現在バイオカイトシリーズの中で、首長のモデルというと、白鳥、 コウノトリなどが挙げられますが、頭部にマジックテープが付けられているのにお気づきでしょうか?
これは、飛行機で言うと水平尾翼に相当するもので、近代の飛行機は、水平尾翼は後部に付けられるのが当たり前になっていますが、ライト兄弟のころは、水平尾翼が全部に装着された飛行機もたくさん存在しました。

首長のバイオカイトの場合は、頭部をマジックテープで接合することで、やや頭をもたげる効果があり、これにより、長い首の強度を保つと同時に風が突然なくなったときなどにバイオカイトが、 前突っ込みになって墜落するのを防止する役目を果たすのです。
つまり、頭部についている水平尾翼といえます。

「飛行する際に、マジックテープを貼り合わせずに飛行を行うと どうなりますか?」というお問い合わせをいただくことがありますが、風が突然止まったり、風向きがコロコロと変るような環境では、尾翼のつまみ(首長シリーズでは、頭部つまみと尾翼つまみ)の接合がないと、カイトの裏に風が入って、墜落することになります。
念のためを考えて、いつもマジックテープは貼り合わせて飛ばすくせを付けておきましょう。

第031号 バイオカイトの飛行原理についてのお話

今回はバイオカイトの飛行原理についてのお話です。
つまるところ、「和凧やゲイラカイトとバイオカイトの違いは何ですか?」という問いにお答えするのが本日の趣旨となります。

バイオカイトはカイトという名前が付いていますが、厳密に言うと、今までの凧やカイトがそうであったように、風を受けて飛ぶ構造にはなっていません。
ベルヌーイの定理を応用して飛行する飛行機や鳥と同じで、揚力を利用して飛行する糸の付いた飛翔体なのです。つまり、糸のついたグライダーといった方が正確な表現になります。

したがって、従来の凧と決定的に構造が異なる点があります。
それは、バイオカイトが飛行機や鳥と同じく、水平尾翼を持っている点です。この水平尾翼こそが、バイオカイトを軽量で空高く飛行させるための大事な要素といって良いでしょう。

水平尾翼やベルヌーイの定理を応用した飛行原理の詳細につきましては、「カラスもびっくり!バイオカイト」(講談社)で説明がありますので、そちらに譲るとして、バイオカイトは、上で述べた水平尾翼のおかげで、バイオカイトは風に向かって浅い角度で飛行姿勢をとることができます。

つまり、風が強く吹いていても、風を受ける部分はわずかな面積に限られ、その部分にかかる力もわずかなものに限られます。その結果。軽くしなやかな素材を使用することが可能となり、微風でも高く舞い上がることが出来るのです。
また、強い風が吹いているときでも、飛行姿勢を浅く(糸目位置を頭部寄りに寄せて)飛ばすると、安定飛行させることが出来、主翼を支える横梁に取り付けられたスプリングの強度を強いものにすると、強い風でも力強く飛行させることが出来ます。

風に対する浅い飛行姿勢は、風をまともに受けずにベルヌーイの定理から生じる揚力で飛行するため、糸にかかる力はわずかで済み、風の抵抗の少ないナイロン糸を使用することが出来るのです。この極細のナイロン糸は、バイオカイトが上に揚がろうとする力を最大限有効に生かすことが出来ます。

すでに、お気づきのように自然の力に逆らわず、うまく利用して飛行するバイオカイトは、従来の凧やカイトでは、常識であった風を受けて飛ぶという飛行原理とは全く異なる方法で、大空にアプローチした凧と飛行機のハイブリッドフライングオブジェクトです。

第032号 バイオカイトの飛行姿勢についてのお話 パート1

今回はバイオカイトの飛行姿勢についてのお話です。
バイオカイトには、一般の凧と同じく、糸目があります。 この糸目の位置は頭部方向から尾翼方向までスライドするようになっています。

バイオカイトは、糸目の移動と水平尾翼により、風に対する迎角(風の吹いてくる方向に対して、頭をもたげる角度)が決まりますが、糸目を尾翼方向へどんどんずらしていくと、それにつれて、バイオカイトは風に対して体を立てた状態で飛行することになります。この状態は、バイオカイトにとって非常に苦しい姿勢で、糸のな い鳥や飛行機では、墜落する状態です。この状態では、フライヤーの手元には、重苦しい引きが残っていると思います。
その反対に、糸目を頭部寄りに寄せていきますと、バイオカイトの飛行姿勢は、水平に近づいてきます。

ある一定の点を過ぎると、バイオカイトは頭を振り始めて、不安定な飛行を始めます。 このとき、手元には軽い引きだけで糸目を下げたときのような重苦しさはありません。

バイオカイトは、鳥や飛行機の飛行原理をそのまま採用したものですから、水平に近い状態で(層流状態)で飛行するように設計されています。したがって、どちらかというと糸目をやや頭部寄りの位置でセットして飛行させると、不要な風の抵抗が少なく効率の良い飛行が出来ます。

つまり、今回のワンポイントレッスンの要点は、不安定になり墜落しない程度で出来るだけ、糸目を頭部寄りにセットして飛行させて様子をみて、こつをつかんでほしいのです。そして、その時の引きの手ごたえをリールのスプール(糸巻き)を押さえる指で覚えておいて下さい。

糸目が下がりすぎたり、ご自分で製作されたバイオカイトの横梁の位置が尾翼寄りに寄りすぎていたりすると、迎角が大きくなりすぎて、手元に残る引きが重苦しいものになります。これは、指先だけで、敏感に判別することが出来ます。苦しい引きはバイオカイトが層流状態で飛行していないことの証となります。
また、このときはバイオカイトの本体下側(尾翼に近い部分)が少しへこんだような形で変形していますので、形で見分けることも出来ます。

糸目の位置と手元の引きの感覚をつかんで揚げられるようになると、さらには応用テクニックとして、強い風のときは、墜落しない範囲で最大に、糸目を頭部寄りに寄せて飛行させ、極めて弱い風(風速1.5m/秒以下)の時は、糸目をやや下げて、迎角を大きくとって飛行させることが出来るようになりますが、これについては、次回解説いたします。

第033号 バイオカイトの飛行姿勢についてのお話 パート2

今回もバイオカイトの飛行姿勢についてのお話です。

バイオカイトの揚げ方の基本は、あくまで、糸目位置は、安定点にセットし、飛行中にあまり左右に振れない様に飛行させることですが、ある程度慣れてきたら、状況によって糸目位置を変えてみてください。すると、安定点の位置では飛行させるのが難しかった風の状況下でも飛行させることができるようになります。

強い風の時は、糸目を前にセットし、迎角を浅くします。バイオカイトが受ける風圧が減少し、強い風でもあまり抵抗を受けずに飛ばすことが出来ます。
ただし、糸目を安定点より前に出せば出すほど、水汲み運動を起こしやすくなるので、どの程度まで前に出せるか見極めが必要です。この場合は、1~2mの高さで、少々水汲み運動をしていても(くるくると回転するのはダメ)糸を一気に30m程度繰り出した後、ゆっくりリールのスプールに指でブレーキをかけて、様子を見てください。揺れながらでも飛んでいれば、OKです。
この糸目位置は、強い風が吹いているときのセット位置で、弱い風の環境下では、あまり使用しないでください。揚力が小さいため、揚げるのが難しくなります。

反対に、極めて弱い風のときは、糸目を少し下げてセットして飛行させると、バイオカイトが体を立てて飛ぶことになるため、より風を受けやすい姿勢となります。これは、極めて弱い風の環境下では有効です。
筆者は、無風に近い環境で、糸目を少し下げて、後ずさりと竿の引きを合わせながら、30m程度の高さまで、バイオカイトを揚げ、(30m程度の高さになると、風が吹いていることが多い)その高度で吹いていた風をつかんで一気に150m位まで上げたことがあります。この場合、風をつかんだと思ったら、一気に竿の引きを入れることが必要です。

弱い風の環境下では、風がいつとまるかわからないため、バイオカイトを短時間で風が吹いている可能性の高いゾーンまで一気に上昇させる必要があります。迎角が大きくなる様にセットされたバイオカイトは、急激な竿の引きを受けると、急上昇します。(このとき、必ず後ずさりしながら、竿の引きの動作を入れてください。止まったままで引きだけを入れると、風が弱い分、竿の引きがなくなった瞬間、バイオカイトは失速し墜落することがあります。)

このようにして、安全な高度に到達すると、地上では無風でも悠々とバイオカイトを飛ばすことが出来るのです。
ただし、糸目を下げて飛行させる場合は、バイオカイトはより風圧を受ける姿勢で飛行しているため、かぜが強く吹いている高高度まで揚げすぎないでください。

バイオカイトの飛行原理を生かして、いろいろな風の状態を考えながら、飛行させることが出来るようになると、バイオカイト大会での入賞は間違いないでしょう。

第034号 バイオカイトの横梁についての説明の第一回目

今回はバイオカイトの横梁についての説明の第一回目です。
横梁につきましては、お客様からさまざまな質問をいただきます。

今回は、「バイオカイトの中に、横梁のL字型をした断面の長いほうの歯を下にしてシートに貼り付けられているタイプと短いほうの歯を下にしてシートに貼り付けられているタイプがありますが、どういうわけでしょうか」というご質問をいただきましたので、お答えいたします。

バイオカイトが発売されて、既に2年を過ぎましたが、これまでの間にバイオカイトは数次にわたる技術的な改良、改善を繰り返してきました。その中で、最も大きな改良のひとつが、シートの変更と、横梁の改良でした。これらは、バイオカイトの安定性と大きく係わり、これらの要素の変更により、バイオカイトは、初期のものに比べて、一段と安定性を増したといえるでしょう。

横梁は、初期は矩形の木材を使用していました。この木材は、歩留まりが悪く、経年変化が発生することが多かったため、現在の航空用木材にしましたが、この材料は、比重が重く、重量軽減のため、現在のL字型(アングル)構造としました。

また、横梁の位置も初期のものは、現在のものに比べてやや尾翼よりに配置されていましたが、現在のものはかなり頭部よりに配置されています。
この変更は、尾翼の改良とあいまって、バイオカイトの耐風性能を向上させ、翼にかかる荷重をかなり軽減させることになりました。このため、L字型横梁採用直後のモデルでは、翼にかかるおおきな荷重に耐えるように、長いほうの歯を立てて使用していました横梁位置を頭部寄りにした軽荷重のモデルでは、むしろ横梁の取り付けの安定を図るため、長いほうの歯をシートに貼り付けるように変更しました。
現在のバイオカイトは、翼長2mのモデルは別にして、すべてこのタイプに統一されております。

横梁にかかる荷重の軽減については、他にも二段上反角の採用(翼に風が当たると、翼端部がより大きくたわみ翼の付け根で形成する上反角に加えて、さらにもうひとつの上反角を形成し安定性を増すとともに、翼にかかる荷重を逃がす)などがあります。
これらの改善の模範は、すべて、鳥を参考にしながら進めてきました。改善のたびに、だんだんと鳥の飛翔構造に近づいているといっても過言ではないでしょう。
文字通り、バイオカイトといえそうです。

 

第035号 バイオカイトの横梁についての説明の第二回目

今回はバイオカイトの横梁についての説明の第二回目です。
横梁につきましては、バイオカイトの発売以来、何度か材質や取り付け方など変更を行ってきました。

「カラスもびっくり!バイオカイト」(講談社 ブルーバックス)をお買い求めになられて御自分でバイオカイトを製作の方からの質問のなかに、横梁素材に関するものがかなり、多いので今回ワンポイントレッスンでは、それにお応えすることが中心となります。

バイオカイトを御自分で製作される場合、適当な材料の調達がその性能を大きく左右することは言うまでもありません。特に、シート素材と横梁の選定が飛行を簡単にするか、難しいものにするかの分かれ道です。横梁には、軽くてしなやかでかつ壊れにくい素材が必要ですが、なかなかそのような素材はありません。
候補をあげると、ヒノキやCFRPなどが市販で適した素材といえますが、バイオカイトのメーカーとしてぜひ、紙面を割いてお願いしたいことがあります。

横梁には、CFRP(カーボン素材)を使用しないでいただきたいのです。

CFRPは、剛性、重量などバイオカイトのフレーム材としては、最も適したものであることは間違いありませんが、導電性があるという安全上の問題があります。
ですから、市販のバイオカイトには、長さの必要な横梁には、万が一、電線に引っかかっても、安全な素材を選定しております。この観点から、横梁の選定を行って欲しいのですが、そうすると残された素材はヒノキということになります。ヒノキは、軽量で安全上も特に問題がなく、無難な素材でしょう。ただし、経年変化があるため、時間とともに湾曲することが多く、湿度などの変化の少ない場所での保管が必要でしょう。

このようなことを踏まえて、できれば、横梁とシート素材は、弊社のオリジナル素材を御使用になられることをお奨めします。市販の素材で作られたバイオカイトと比べると格段の安定性と上昇力を発揮すると思います。
また、バイオカイトの構造も、日進月歩で進歩しており、メルマガやホームページなどで出来る限り公開したいと思います。

第036号 アマツバメバイオカイトを飛行させるときの説明

今回は、今回発売予定の翼長が46cmのアマツバメバイオカイトを飛行させるときの説明です。

ツバメカイトは、他の標準バイオカイトに比べて揚力が小さいことは、お分かりいただけると思いますが、これは、糸の引きが小さいということにもなります。このようなカイトを飛行させるときは、カイトの引きが弱いため、リールの糸が伸びていかないことがあります。

風が弱いときに、せっかく風を捉えるチャンスが来て、テイクオフをしようとしても、これでは、糸が伸びずチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。こんなときの対策としては、糸目を少し下げておきましょう。(ほんの1~2mmでかなり引きが変ります。)迎角がやや大きくなったカイトは引きが強くなり、リールの送り出しもスムーズになります。

また、風が強いときは、糸目を少し上げてみましょう。
この糸目ポジションでは、水汲み運動を起こしがちですが、一気に30m程度糸を伸ばして、ゆっくりと送り出しにブレーキをかけてみてください。カイトの上昇角が取れると同時に、水汲み運動が始まり、左右に激しく動いたり、くるっと回ったりしますが、墜落しない程度のものであれば、ゆっくりと糸を伸ばして50~70m程度の高度まで揚げてみてください。
糸の送り出しが続いている間は、カイトは静かに上昇していきますが、糸の送り出しを止めた途端、やはり暴れだします。ただし、この高さでは30mの高度よりも気流が安定していることと、十分な高度があるため、バランスを崩しても、立て直す余裕があるので、少しゆとりを持ってカイトをコントロールできるでしょう。

この高度で、水汲み運動をわざと起こさせて、糸の送り出しや竿の引き、あるいはフライヤー自身の前進や後退などの動作を合わせて、コントロールしてみてください。50~70mの比較的低高度の竿の引きがすぐにカイトに伝達できる領域で、ツバメカイトは、これらの動きに敏感に反応します。

静かに、バイオカイトを揚げて眺めるのも一つの楽しみ方ですが、時には、激しく、ロデオのように、バイオカイトと格闘するのも楽しいと思います。

バイオカイトに少し慣れてきたフライヤーの皆さん。一度、ツバメバイオカイトをお試しください。本物のツバメのように、大空を機敏に動き回るアマツバメとまるで格闘しているような錯覚を感じるのではないでしょうか?

第037号 V骨の説明

今回は、V骨の説明です。
バイオカイトには、例外なく背骨から翼の前縁に斜めに取り付けられた黒色の骨があります。通称、V骨と呼んでいますが、この骨は、バイオカイトの飛行の安定性に大きく寄与しています。

スプリングや横梁などの上昇性能や耐風力などの飛行性能に直結する部品ではなく、安定性に貢献する地味な役割を演じる部品なのですが、このV骨がないとバイオカイトは飛ぶことが出来ません。
通常、バイオカイトは、風に対して水平に近い角度を保ちながら飛行しますが、その際に翼前縁付近にあたる風は、バイオカイトの翼を尾翼よりに押し下げようとします。
V骨はこの力に対して、つっかえ棒の役割を果たし、翼を広げた状態を維持させているのです。ですから、文字通り、縁の下の力持ちの骨なのです。

キットをお買い求めになられたお客様が、このV骨を取り付けられるときは、背骨にV骨の先端を接触させて、左右対称になるように、取り付けてください。背骨とV骨の間の隙間が大きいとそれだけ分、風圧で翼が後ろに押し下げられ回転の原因となります。
ご自分で作られたバイオカイトが回転したり傾いたりした場合は、ほかにも要因はありますが、原因のひとつとしてV骨の取り付け状態も確認してみてください。

第038号 スピニングリールでバイオカイトを揚げるときの方法

バイオカイト専用のリールを使用しておられる方に対しては、既にワンポイントレッスンで説明しましたので、今回は、スピニングリール(釣りで使用する竿に対して横回転するタイプのリール)を御使用の方を対象にバイオカイトを揚げるときの使用方法について説明いたします。

スピニングリールは、釣りの際に遠くに投げ出せるように設計されておりますが、バイオカイトを揚げるときには、カイトの引きが弱いため、釣りと同じ方法で使用しては、糸がもつれてしまうことがあります。

そこで、スピニングリールを御使用の方は、糸を送り出すときも巻き取るときも、ハンドルを回転させて、使用されることをお奨めいたします。

スピニングリールは、ハンドルを正転、逆転できるものが多く、糸の送り出しも、ハンドルを回転させることで可能になります。

弱いバイオカイトの引きに応じて、ハンドルを操作すると、上昇角を高く保ったままで、揚げる事が出来ます。

どうしても、糸の送り出しにハンドルを回転させるのが面倒だと思われる方は、糸の送り出し時に、スピニングリールの回転部の前方(先端)にドラグノブ(つまみを回転させて、弛めると、回転部を、ハンドルの回転に関係なくカイトの引きで空転させることが出来、つまみを締め付けるとハンドルの回転により、回転部を正確に回転させるための調整ノブ)をゆるめておくと、バイオカイトの弱い引きでも、糸は送り出すことが出来ます。

ただし、目標とする高さまでバイオカイトを揚げたらすぐに、ドラグノブを締めて、ハンドルが効くようにしておくことが必要です。

締め忘れると、失速などで、急いで巻取りが必要になったりしたときに、ハンドルを回しても、ハンドルが空転し、巻取りが出来ずに対応が遅れることがありますので、注意してください。

 

 

第039号 高高度飛行(300m以上)をさせる場合の効率的な揚げ方について

今回は、高高度飛行(300m以上)をさせる場合の効率的な揚げ方について説明いたします。
高高度飛行は、それに適した機種とそうでない機種があり、すべてのバイオカイトが可能なわけではありません。

高高度飛行に適した機種といえば、プテラノドン、フクロウ、上空の風がそう強くない場合のトビ、はばたく蝶シリーズの蝶タイプ(φ1.0のスプリングを使用した場合)などがそれにあたりますが、いずれのタイプも高高度飛行をさせる際に糸の送り出しに十分注意が必要です。
高高度飛行を急ぐあまり、一気に糸を100m以上も送り出してしまうと、バイオカイトは十分な上昇角を取れずに(つまり、十分な高度が取れずに、)横流れをしてしまいます。
糸の送り出した長さが長くなればなるほど、糸にかかる風の抵抗が大きくなり、バイオカイトの上昇しようとする力と反対の力が働き上昇力が落ちてきます。
また、低空域で長時間飛行していると気流が悪い分不安定な飛行となり、最悪の場合は、墜落ということにもなりかねません。

そこで、いつも言うことですが、上昇角を高く保った状態で糸を送り出してください。
30m程度、一気に糸を送り出したのち、糸の送り出しを止めて上昇角が大きくなるのを待って揚げていくか、最初からリールのスプールに指を掛けて、ブレーキを掛けながら揚げていくかどちらかの方法で高度を稼いでください。

これが、高高度飛行の基本です。また、高高度飛行する場合は、送り出した糸の長さを半径として、その範囲に電線や危険物のないことを確認した上で飛行させるようにしてください。

これらを守って飛行させると、サーマルが吹いている場合などは、特にリールが壊れるのではないかというほど一気に上昇することもしばしばです。いちど、このような経験をされたら病み付きになってしまうことでしょう。
リールのベアリングが発するビューンという高速回転音とともに雲に吸い込まれるように上昇するバイオカイトの姿は爽快です。

第040号 鳥タイプをはばたかせるための裏技

今回は、応用編です。はばたく蝶のバイオカイトシリーズが、糸目中心の位置を変更すると、自然にはばたき動作をすることは 既に述べたとおりですが、鳥タイプは、普通の設定でははばたきません。

「蝶タイプははばたくのに、鳥タイプはなぜはばたかせないのか?」という疑問をお持ちの方も多いと思います。鳥は、翼が長いため、強いスプリングが必要となり、風とピッチングを利用した翼の共振作用の条件を合わせるのが難しく、はばたき動作をさせることは困難なのです。

今回は、そんなはばたきを起こしにくい、お手持ちの鳥タイプをはばたかせるための裏技をお教えいたします。鳥シリーズといっても、何でも良いというわけではなく、対象は縦長の鳥になります。具体的には、ハヤブサやファルコン、(ブルーバックスからバイオカイトを製作された方は、カラスなども良いでしょう。)が適合機種になります。

これらのカイトをお持ちの方は、スプリングを現行の径1.0mmから翼が上反角がほとんどなくなる長さの(頭部からみて水平になる程度の長さの)0.8mmの径のスプリングに変更し、尾翼後部端に5~10g程度の錘(錘は、鉛でも木材でも結構です)をテープなどで貼り付けてみてください。
風があまり強いと難しくなりますが、糸目中心をうまく調整すると、鳥型バイオカイトは見事にはばたきます。これは、後部端に取り付けられた錘によるピッチング動作が径の細いスプリングで連結された翼を共振させているからです。

これからは、春の穏やかな良い風が吹く季節になりますので、縦長タイプの鳥型バイオカイトをお持ちの方は、試してみてはいかがでしょうか?

第041号 小型バイオカイトで風が弱い場合の揚げ方

今回は、現在売り出し中のアマツバメなど翼長40~50cmの小型バイオカイトで風が弱い場合の揚げ方について説明します。

小型バイオカイトは翼長70cm~1mの標準のバイオカイトに比べて、揚力が小さいため、いわゆる引きが弱いのが特徴です。そのため、風速が1.5~2.0m/秒程度のそよ風で揚げた場合、リールのブレーキを開放してもバイオカイトの引きで糸を繰り出せない場合があります。

この場合の対処は、次の方法が考えられます。

①糸目を少し下げて、迎角(風に対して少し頭をもたげる角度)を少し大きく取るとそよ風でも、引きが強くなります。
この場合、あまり糸目を下げすぎると不安定になるため、1~2mmずつ動かして様子を見てください。
1mmの糸目の移動で引きの強さはかなり変ります。

②長尺の性能アップパーツφ1.0のスプリングを使用し、上反角を小さくし(頭部から見て、左右の翼の織り成す角度を水平に近づける)、揚力をあげる。

などが有効な対策ですが、いずれにしても、これらの小型バイオカイトはカイト本体から発生する揚力は、標準のタイプに比べて小さいため、そよ風の中で揚げる場合は、標準のバイオカイトを無風の状態で揚げるようなイメージが必要でしょう。また、上記の操作に加えて、後ずさりをしながら揚げる事も良いと思います。

竿をうまく引きながら、風に乗せると、小型のバイオカイトは小気味よく、急上昇したり、左右に水汲み運動を起こしたり、非常に面白い動きを見せます。

小型バイオカイトをうまく揚げるコツをつかむと標準のバイオカイトの無風に近い状態での揚げ方にもつながり、良い練習になると思います。

第042号 リニューアル発売になりました「トビ」の説明

今回は、リニューアル発売になりました「トビ」の説明です。

「トビ」は、バイオカイト発売以来、お客様に人気の機種ですが、このほどフルモデルチェンジを行い、新しいデザインの「トビ」をあらためて発売することになりました。以前に発売されていました「トビ」は、微風性能に優れ 飛行時のリアル感が人気でしたが、風が強くなると水汲み運動を起こしやすく、初級者の方にとっては、少し難しさを残しておりました。

リニューアルされた「トビ」はこの点を改善し、微風で簡単に揚げる事ができる性能を維持したままで、強い風に耐えるような改善を加え、かつ、糸目の安定ゾーンを広く取り、初級者でも簡単に飛ばせるように調整作業を簡単にしました。また、糸目を大きく頭部寄りに寄せると、蛇行運動や8の字飛行などの運動性も確保し、中級以上のテクニシャンにもご満足いただける内容のものに仕上がりました。

ところで、「トビ」の特徴は、なんと言っても上昇角の大きさでしょう。

100m程度であれば、ほぼ、頭上で飛行する「トビ」のリアル感は圧巻で、「トビ」をあげる楽しみの一つはここにあるのですが、ひとつ注意していただきたいことがあります。上昇角を大きくとって飛行する「トビ」は、迎角が小さくなっているため、風が突然止んでしますと、頭から突っ込んでグライダーのように滑空を始めることがあります。この状態で、滑空が始まると頭部がやや斜め下を向き、緩降下しているため、再び風が吹き始めると、風は「トビ」の裏にあたり、墜落してしまいます。

他のバイオカイトでも同じことが起きますが、これを防ぐため、尾翼つまみがあります。 「トビ」を大きな上昇角を取って飛ばされるときは、特にこの点を注意して欲しいのです。
また、高く揚げたあと、糸を巻き取る際にも同じことが言えますが、カイトを見ずに高速リールなどで勢いよく巻き取ると、頭上を跳び越して反対側に飛び越えたあと墜落ということにもなりかねません。

(尾翼つまみをつまんでいても、高速リールで勢いよく巻き取りすぎると発生する)糸を巻き取るときは、少し前進して上昇角を小さくしながらカイトの様子をしっかりと見て巻き取るようにしてください。
これらは、すべてのバイオカイトについて当てはまりますが、上昇角の大きい「トビ」の場合は、とくにこの確認が必要です。

第043号 山間部などの広場でバイオカイトをあげる場合の注意点

今回は、山間部などの広場でバイオカイトをあげる場合の注意点について説明します。

バイオカイトはそよ風で揚がる特徴がありますが、どんな風でも吹いていれば良いというものでもありません。山間部の広場でバイオカイトを飛行させる場合は、風の状態を十分調査して、慎重に飛ばしてください。
三方や四方を山に囲まれている場合は、風が舞うことが多いため、バイオカイトを中途半端な高度で揚げていると突然風向きが変り、上空で失速し、糸の巻き取りに失敗して墜落ということにもなりかねません。
そこで、このような風向きの変りやすい山間部などの広場でバイオカイトを飛行させる場合は、次のことを注意して揚げられるとよいと思います。

1)繰り出す糸の長さは、(フェンスのあるグラウンド等で揚げている場合)自分が立っている場所から風下側のフェンスまでの距離以内にとどめる。そうすれば、墜落しても、グラウンド内に墜落し、回収が簡単。
風が極端に舞っていて、バイオカイトが左右に大きく流れる場合は、自分の立つ位置から、最も近くのフェンスまでの距離以内に繰り出す糸の長さをとどめるようにしてください。

2)糸目は安定位置よりやや尾翼寄り(通常のセット位置より1~2mm尾翼より)にセットして、迎角をやや大きく取ってください。微風でもすばやく上昇し、風の条件が変るまでに、安定高度に到達させるためです。(山間部の広場の低空域は気流がかなり不安定)

要するに、風が待っている中では、あまりバイオカイトを高く揚げすぎない方がよいと思います。

高く揚げる場合は、何度もいろいろな高さの風向きをバイオカイトを揚げたり、下ろしたりしながら確認し、風向きが短時間でころころと変らないことを確かめて、その確認できた高度の中で高く揚げるようにしてください。

筆者などは、バイオカイトの楽しみ方として、海では海風に乗せて、一気に高度をとり、ビッグフライトを楽しみ、山間部などでは50m~70m程度の高さで不安定な気流を利用し、糸目の位置も少し安定点よりずらした状態でスリリングな動きを楽しむようにしています。
山間部での50~70mの高度でのスリリングな飛行は、飛行テクニックを磨く上で絶好の機会ではないかと思います。

第044号 ビル風とバイオカイトの飛行について説明

今回は、ビル風とバイオカイトの飛行について説明いたします。

ビル風といっても、ビルの間でバイオカイトを飛行させるのではなく、(もちろんビルの間で、バイオカイトを飛行させると乱気流のため、回転墜落したり、傾きが止まらなかったり、悲惨なことになるケースが多いのですが)ビルから数百メートル離れた場所でも、そのような現象が起きるというお話です。

ふつう、一般に考えると、ビルから数百メートルも離れるともう大丈夫と安心してカイトを揚げられる方が多いと思うのですが、なかなかことはそんなに簡単なものではありません。
特に、20階を越える高層ビルなどが風上に林立する場所の近くであれば、ビルから相当離れていてもかなり風は乱れていると考えて間違いありません。また、特に気をつけなければならないことは、ビルに日中、直射日光が当たり、表面温度が上昇すると、影の部分と温度差ができます。

これが、乱気流の原因となって風下の気流に大きな影響を及ぼすのです。
曇りなどの天気では比較的影響も少ないと考えられますが、基本的には、このような環境は、あまり凧揚げには適さないといってもよいと思います。どうしてもこのような条件下で、バイオカイトを揚げる場合は、傾く方向と反対側にかなり長いバランサーをつけてバランスを取ってください。
ただし、この場合は強い舞い風に対抗するために、反対側に強いバランサーをつけているため、どんどん高度を稼いで、ビルの高さよりも高く揚がり、舞い風がなくなった途端に今度はバランサーに引っ張られて傾いたり、回転墜落したりすることがあります。

ですから、このような中で揚げる場合は、建物の高さを超えない範囲でバランサーをつけて飛ばすか、揚げる場所を変えるか、もしくは少し時間を置いて、風向きが代わり、高層ビルが風上にこない状況であげるかの選択になります。

複数のバイオカイトをお持ちのお客様で、どのバイオカイトも同じ方向に傾き修正できない場合は、まず間違いなくこの舞風、ねじれ風の影響だと考えて間違いありません。
風の程度にもよりますから、一概に決め付けることもできませんが、日ごろバイオカイトを揚げる場所は、このような悪影響のない場所を選んで揚げられることをお奨めします。

第045号 バイオカイトのシートのお話

今回は、シートのお話です。発売当初からバイオカイトをご愛顧いただいているお客様は、既にご存知のこととは思いますが、発売当初の初期モデルでは、バイオカイトのシートは、和紙を使用しておりました。

シートの選定の基準はいろいろありますが、バイオカイトの場合は、先ず第一に、重量です。それから、耐久性、印刷性、しなやかさ、工作性、耐水性などを基準に選定します。

初期の和紙シートは、重量と印刷性に優れていましたが、耐水性、耐久性、工作性に難がありました。現在の不織布シートは上記の基準のうち印刷性を除くすべての条件に優れた性能を示しています。
時折、初期の和紙シートモデルの復活を望まれるお便りをいただきますが、このような理由から、現在の不織布シートを採用して います。

また、カイトのフレームを貼り付ける作業の中で、シートに関連することとして、初期モデルでは、木工ボンドを使用していましたが、現在は不織布シートの採用とともに、両面テープによる貼付に変更いたしました。
木工ボンドでフレームを貼り付けると、ボンドの量が多い場合や少ない場合の接着強度のばらつきやボンドの硬化によって部分的にシートが引きつったり皺ができたりすることがあり、これらのシートの引きつりや皺は、バイオカイトの飛行に悪影響を与える原因となることがありました。

接着のばらつきを抑えて、シートのしなやかさに悪影響を与えない接着方法として現在の両面テープでのフレームの接着方法を採用しました。バイオカイトと他のカイトや凧の大きな違いのひとつとしてシートに対する考え方があります。

風を受けて飛ぶ凧やカイトはバイオカイトほど重量を気にすることなく、逆に強度や耐久性を重視して採用することになりますが、バイオカイトの場合は、前述の基準が重要視されます。

シートの性能をフルに引き出すために、できる限り、フレームの接着部で皺やボンドのこぶを作らず、シート前面にわたって、均一のしなやかさを持たせることがバイオカイトを安定飛行させる最大要因になります。

第046号 バイオカイトに付属しています糸巻きの使用方法

今回は、最近のバイオカイトに付属しています糸巻きの使用方法についてのお話です。

バイオカイト以外の凧をお買い上げになられた方は、よく経験されてご存知かもしれませんが、手巻きの糸巻きでバイオカイトを揚げる場合、次のことに注意してください。

適度な風が吹いている場合は、バイオカイトを揚げるときは糸巻きから糸を直接送り出してもよいのですが、風が弱いときや強いときは、あらかじめ1mくらいの糸を糸巻きから、だして弛ませておき、(左手で糸巻きをもっている場合は)右手で糸を持って糸の張力の調整ができるようにしておいてください。
以前にリールの使用方法の項で、説明しましたが、指で風を感じることが大事なのです。

弱い風の場合は、右手で糸を引いたり繰り出したりという頻繁な風との駆け引きが生じますが、糸を1m程度弛ませておくと、風を捕らえたときにすばやく対応できます。
また、風の強さも右手で敏感に捉えることができるため、フライトチャンスを逃しません。

また、風が強いときは、水汲み運動を引き起こしたりする場合がありますので、糸の緊張をすばやく緩めたり、引きを入れることによって 緊張させたりという、駆け引きが必要になります。いずれにしても、右手で風を感じることで、風やバイオカイトとの会話をしながら、飛行が成立するものであるとお考え下さい。

ただし、この1m程度の糸の弛みでは追いつかない状況が生じた場合は、すばやく前進したり、後ろに下がったりという動作を加えてください。
それでも、追いつかないときはあわてず、糸を巻き取り高度を下げる(ただし、上昇角は保ったままで)様にしてください。

リールとは違って巻取りが遅いのですが、決してあわてず行うことが大事です。

第047号 お子さんにバイオカイトを楽しんでいただく為のお話

今回は、幼稚園や小学校の低学年のお子さんにバイオカイトを楽しんでいただく為のお話です。

バイオカイトを揚げるときに、初めての方や、小さなお子さんにとって難しい点は、糸目の調整と低空での操作であろうと思います。そのために、バイオカイトシリーズの中に初級者用として、「ユリカモメ」や「ファルコン」など低空での安定性の高いものをご用意していますが、さらにビギナーの方やお子さんに簡単にお楽しみいただくために、次のような方法をご紹介します。

まず、紙テープ(幅10mm~15mm程度で長さ1.5mくらい)を用意します。
このテープの材質は、基本的には何でも良いのですが、市販の紙テープを御使用いただいても結構ですし、バイオカイトのキットをご購入の方は、切り抜いたあとのシートの残材を幅10mm~15mm長さ1.5mに切り貼りするとテープができます。(荷造り用の麻の紐も使用できます。)
このテープを尾翼後端の中央に両面テープなどで貼り付けて飛ばしてください。テープを尾翼後端に貼り付けることにより、糸目の安定点の幅が広がり、かなり頭部寄りに糸目が設定されても、安定して飛行します。

また、低空で気流の乱れからくるバイオカイトの不安定な動きも、テープを貼ることによりかなり抑えられます。これは、テープが発生する抵抗(抗力)が水汲み運動や不安定な気流が与えるバイオカイトの上下左右の動きを抑えるためです。そして、慣れるに従って、少しずつテープの長さを短くして、最後はテープを完全に取り外して飛ばしてみてください。

ちょうど、お子さんが自転車に乗れるようになるために、補助輪をつけて乗ることから初め、やがてはずすのとよく似ています。尾翼にテープを貼って飛ばすことは、低空での操作に慣れる期間の一過性の飛行手段と考えてトライしてください。

糸目の設定位置と低空(高度30~50mくらい)での糸の送り出しや巻取り方法が慣れてくれば、テープなど不要です。

小さなお孫さんとバイオカイトを楽しまれる方もぜひ、一度お試しになってはいかがでしょうか?

第048号 大型バイオカイト(翼長1m以上)のカイトについてのお話

今回は、大型バイオカイト(翼長1m以上)のカイトについてのお話です。

よく、「大型のバイオカイトを飛ばすときには、標準バイオカイトより強い風が必要ですか?」という質問をいただきますが、大型バイオカイトだからといって特に強い風を必要とするわけではありません。というよりは、むしろ微風で揚げ易いというところが実際のところです。

大型バイオカイトは、フレームなどは標準バイオカイトよりも太く強度のあるものを使用しているため、全体重量は重くなりますが、シートは、標準カイトと大型カイトは同じものを使用しているため、相対的にシートの重量が軽くなり、全体重量を翼の面積で割った重量(翼面荷重)がむしろ小さくなり、より微風で安定して揚げやすくなります。

これが、和凧や従来の凧と異なる点で、勘違いされる方が多い点です。ですから大型バイオカイトを手にされて、すこし重そうだからといって微風性能が悪くなるということはありません。

今後も、バイオカイトは大型のものもいろいろ発売が予定されていますが、風の強さを基準に選ばれるのではなく、デザインや安定性などで選ばれると良いと思います。

第049号 バイオカイトをより高く揚げるためのテクニックをご紹介

今回は、バイオカイトをより高く揚げるためのテクニックをご紹介します。

以前にも、紹介したことがありますが、バイオカイトを通常の横風で高く揚げようとすると、リールのスプールに指で軽くブレーキを掛けながら揚げるか、スプールを完全に開放して、20~30mバイオカイトを横流れさせておき、その後スプールの回転を指で止めて、バイオカイトが頭上へ上昇するのを待って、再度スプールを開放するかのいずれかの方法で揚げるのが最もポピュラーですが、それ以外に、上昇気流(サーマル)に乗せるという手があります。

上昇気流に乗ると、リールのスプールを完全に開放した状態でも、上昇角を失うことなく(角度を十分保ったままで)一気に上昇します。うまく上昇気流に乗せると高度500m程度であれば3分程度で到達してしまいます。
一度、上昇気流に乗って上昇する醍醐味を味わうと、そのときのリールの回転や手ごたえが忘れられなくなり、やみつきになってしまうでしょう。

一般には、この上昇気流に乗せて高高度飛行をする場合には、それに耐えうる場所の選定が必要で、間違っても高圧線などが、近くにある場所では揚げないで欲しいのですが、場所に恵まれると、ビッグフライトが簡単に実現します。

この上昇気流をうまく見つけて風に乗せることが、ひとつのテクニックともいえるのですが、初心者の方は、トビなどが翼を拡げたままで、ゆっくり旋回しながら飛んでいるあたりを狙って、バイオカイトを揚げてみてください。トビは上昇気流を利用して、ゆっくりと飛行することが多く、目印だと思ってよいと思います。

慣れてくると、糸の引きやスプールを一瞬、開放したときの上昇角の変化をみて、上昇気流に乗っているかどうかが分かるようになりますが、最初は、トビなどの大型の鳥に学べば間違いないと思います。

第050号 バイオカイト大会で、筆者が気になること パート1

今回は、前回に続き、バイオカイト大会で、筆者が気になることを並べて見たいと思います。

バイオカイトの糸を一気に送り出す人が多いのに次いで、次に、よく見かけるシーンに(これは初心者の方に多いのですが)、バイオカイトを持った瞬間に走り出すということがあります。風に向かって走るシーンは、大体が風が弱いときによく見かけますが、バイオカイトを揚げる場合は、風向きを確認したら、走ったりせずに、我慢して、できるだけ風上側のスペースを大事に、残しておいて欲しいのです。
平たく言えば、できるだけ、立ったままで揚げるように工夫して欲しいのです。
これは、風が弱い場合は、無風になったり、バイオカイトを支える風力以下になったときに、後ずさりをしながら高度を稼ぐ必要があるからです。

一般に、適度な風が吹いているか、風が強い場合は、風上のスペースを残さず、風下側に十分スペースをとって揚げるようにし、風が、弱い場合は、風上側に十分スペースを残しておき、間違っても走ったりすることで、スペースの浪費をせずに、揚げてください。
よほどバイオカイトを揚げるのに熟練した人でもない限り、歩いても、走ってもバイオカイトの到達高度に差が出ないため、せっかくの風上のスペースを失い、風をうまく捉えるチャンスを失ってしまうことになります。特に、バイオカイト大会では、飛行テクニックもさることながら、まず、風の強さや向きを読んで、どの位置に立つかでほぼ勝負の大半が決まるといっても過言ではありません。

風とうまく付き合うことと、場所を大事にすることはバイオカイトのみならず、すべての凧揚げに共通のセオリーでしょう。